先輩の本

東京は築地にある聖路加国際病院の小児科部長・細谷亮太先生は、私の母校の先輩(ずっと上で面識もないですが...)ということを最近知って、親近感を覚えるようになった。

細谷先生を初めて知ったのは、NHKスペシャル「こども・輝けいのち 第4集 小さな勇士たち 〜小児病棟ふれあい日記〜」というドキュメンタリー番組を見た時だと思う。難病の少年同士の交流と別れが特に印象的な番組だったことを、今でも覚えている。

有名な先生なので、時折テレビで見かける方も多いだろう。

私があの学校にいたときは、自分の人生の中でもっとも辛い時代だったが、それでもやはり、母校の活躍を見ればうれしいし、母校の先輩・後輩が活躍しているの見聞きすればそれもうれしい。

そんな先輩のエッセイを、大阪の書店で見かけたので思わず買ってしまった。
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小児科医として、俳人として、時には一人の大人として、訥々と語られる内容がスッと入ってきてとても読みやすかった。

世の中には様々な問題があるけれど、結局のところ一番にしわ寄せが来るのは、未熟で弱い子どもなのだと思う。そういう意味で先輩は、子どもの権利を守る最前線にいる一人だ。

仕事とはいえ、数々の子どもの死や辛さを体験するのは尋常ならざる気持ちだろう。それでも仕事を続けているのは小児科医として以上に、大人として、きちんと責務を果たそうとするお気持ち故ではないだろうか。

なんだか「君も頑張りなさい」と背中を叩かれたような気分になって読了した。良い本だった。